今回はクリスタこと「クリップスタジオペイント」で、以下の内容について解説します。
※PROとEXの両方に対応しています
- マンガ原稿用紙の基本設定とその理由
- 基本設定を保存して何度でも使い回す方法
- 原稿用紙作成後に設定を変更する方法
- マンガファイルの取り扱い注意事項(EXのみ)
今回は最も汎用性の高い「商業誌用」をベースに設定を紹介しますが、もちろん同人誌を制作している方にも有益な情報となっています!

設定する前に、そもそもマンガ原稿用紙の使い方を知らない方は、以下の記事を先にお読み下さい。
マンガ原稿用紙の使い方が分かっていないと、設定はできてもマンガをどこにどう描けばいいかわかりません。


それではクリスタを開いて、設定をしていきましょう!
の前に、まずは結果をお見せしますね。


現役の漫画家です!
「史上最強の魔法剣士、Fランク冒険者に転生する(原作:柑橘ゆすら)」のコミカライズを担当していて累計発行部数155万部突破しました!現在も連載中です。
【作品一覧】
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最終的にこうなります
はい、さっそくですが、こちらの設定をマネしたら終了です。
が、自分の好みで設定していいところや、この設定を使い回す方法なども紹介しますので、今戻るのは早計です!


それでは順を追って見ていきましょう。
まずは新規作成からコミック原稿設定画面まで進む
それでは、まずは新規ファイルを作成しましょう。
ファイル → 新規
※もしくはCommand(Control) + N


そしてマンガを制作するので「すべてのコミック設定を表示」のアイコンをクリックします。
ただの「コミック」のアイコンもあるのですが、こちらは設定できる項目が少ないので使いません。


これでマンガ原稿用紙の設定画面までたどり着きました。
それでは原稿用紙を設定していきましょう。
いざコミックの原稿用紙を設定しよう!
まずはプリセットから「B4判モノクロ(600dpi)」を選択します。


またプリセットの一覧を下まで見ていくと、いくつかの出版社の設定もあらかじめ用意されています。
該当するものがあれば、もちろんこちらを使ってOK



マンガ原稿用紙でB4サイズは「投稿用」と言われ、特別な理由がない限りこのサイズ一択です。


また「600dpi」は画像の解像度を表していて、これについては後ほど説明します。
それでは主要な設定項目の解説に入っていきます!



「キャンバス」の設定
キャンバスの設定エリアは、基本的には全てノータッチ、初期設定の状態でOK。
幅と高さは後ほど自動で変わります。


幅と高さ
原稿用紙のサイズです。
ここは後ほど登場する「製本(仕上がり)サイズ」を設定する際、自動で数値が変わります。
解像度
プリセットの選択で登場した「600dpi」の部分ですね。
解像度とは簡単に言うと画像の綺麗さのことで、単位はdpiです。
dpiが高いほど高画質に、低いほど画像が荒くなっちゃいます。
ただdpiは高ければ高いほどいいのかというと答えはNO
dpiは高くなるほど画像は綺麗になりますが、それに比例してファイルサイズが大きくなり、表示速度遅延の原因になったり、編集時に画面がカクカクしたりします。
どの規格であろうがモノクロのマンガは、現在は圧倒的に600dpiが主流です。



「マンガの原稿はとにかく600dpi」
ただもしあなたが、何かカラーでイラストを描く場合は350dpiをおすすめします。
基本線数
トーンの線数の初期値の設定です。
あとからいくらでも変更することができるので、最も使う線数に設定しておくと楽になります。
僕は好みで50.0にしていますが、とりあえず初期設定の60.0にしておけば間違いないです。
テンプレートで4コマのコマ割りをサボろう!
「テンプレート」にチェックを入れると、あらかじめコマ割りされた原稿用紙を呼び出すことができます。
今回チェックは入れませんが、好みでチェックしてもOK


いろんなタイプのコマ割りが用意されているのですが、ほぼコマ割りが統一されている4コマ漫画などに使うと便利です。
「漫画原稿設定」の設定
漫画原稿設定は以下のようになります。
製本(仕上がり)サイズを「商業誌用」にすることで数字が自動的に変わり、このエリアの設定が完了します。
「トンボを合わせるは」EXのみの設定となります。
EXの場合でも現在はチェックが入れられない状態になっているので、のちほどチェックを入れます。


漫画原稿設定エリアは、タチキリ線、外枠、内枠のサイズ設定エリアです。
これらの用語が分からない方は、先に以下の記事をご覧ください。


製本(仕上がり)サイズ
タチキリ線のサイズ設定です。
「商業紙用」を選択します。
このエリアの数字を変更すると、キャンバスのサイズと基本枠のサイズが自動で変更されます。
裁ち落とし幅は、外枠とタチキリ線の幅のことです。
基本枠(内枠)
内枠のサイズ設定です。
トンボを合わせる(EXのみ)
こちらの機能については後ほど、複数ページ設定の際に説明します。
セーフライン
セーフラインはチェックを入れると、仕上がり線を基準に、新しい枠をもう一つ追加できます。
便利な機能ではありますが、とりあえずチェックはいれなくていいです。



同人誌用設定


基本ノータッチでOK
チェックを入れると、同人誌を制作する上で正しい設定になっているかどうかを、ファイル作成の段階で判断してくれます。
NGだった場合、このようなポップアップが表示されます。


複数ページ(EXのみ)


PROにはついていない機能で、これにチェックを入れることで、複数ページあるマンガを1つのファイルのように扱うことができるようになります。
複数ページにチェック入れ、これから描くコミックのページ数を入力します。
ファイル作成後もページを追加したり削除したり、ページ数を変更することはでできるので、決まっていなくても適当に設定してOK。



また複数ページの設定をすると、複数のファイルが生成されるので、あらかじめ保存先フォルダを設定しなければいけません。
保存先フォルダを設定する


保存先右側のフォルダアイコンをクリックして、保存先を設定します。
対するページを見開きにする
「対するページを見開きにする」のチェックは完全に好みです。
チェックがない状態だと、1ページ1ファイルとなります。
対してチェックを入れると、見開きページ(2ページ分)で1つのファイルになります。
一応チェックを入れるデメリットとしては、1つのファイルサイズが大きくなり、若干機動や動作に遅れが生じる場合があります。



これにチェックを入れると漫画原稿設定エリアの「トンボを合わせる」にチェックが入れられるようになります。
トンボを合わせるとは


トンボをあわせるはチェックがないと、そのまま原稿用紙が2枚横並びになった状態になります。
対してチェックを入れると、見開き内側の裁断される部分がなくなり、実際に書籍で見開いたような状態で編集をしていくことができるようになります。
「綴じる位置」と「開始ページ」
こちらはノータッチでOK
基本的にマンガは右綴じで、左ページから開始します。
右半分のエリアはとりあえず全てにチェックを外す
重要な設定は左半分で、右半分は好み、もしくは必要に応じてチェックを入れます。



あまり重要度も高くないので、今回右側の設定については省略します。
全ての設定が完了!初回はプリセットを登録しておこう!
全ての設定が完了しました。
あとはOKを押せばファイルが作成されます、が、少し待って下さい!
今後この設定を一瞬で呼び出せるよう、プリセットの登録(テンプレートの登録)を行います。
まずは設定に間違いがないか、改めて設定を確認しましょう!


間違いなければいざプリセットの登録!
プリセットの右側にあるアイコンをクリックして、登録画面にいきます。


任意のプリセット名を入れて、とりあえず全てにチェックを入れてOKをクリックすることでプリセットの登録が完了します。


改めてプリセットの選択をしてみると、最下部に登録した新しいプリセットが入っていますね!
以降はこれをクリックするだけでOK!


また自分で登録したプリセットは、あとから削除することもできます。





プリセットの原稿設定を変更したい場合、既存のプリセットを削除し、変更後の原稿設定を改めてプリセットに登録します。
作成したファイルの原稿を再設定する方法
「間違えた設定でファイル作成してしまった!」
「やっぱりこの設定は使いにくい!」
そんなときにも、全てではありませんが、あとから原稿の設定を変更することができます。
ページ管理 → 作品基本設定を変更
※EXの場合はページ管理ウインドウ(作品ページ一覧の画面)で右クリックでもOK


EXで複数ページを管理している場合、全てのページの設定が変わります。
複数ページあるなかの特定のページのみ原稿の設定を変更する場合、次の方法で変更することができます。
このページだけ設定を変えたい!(EXのみ)
先ほどは作品全ページを変更する場合の方法でした。
次は複数ページある中の、特定のページだけ原稿の設定を変更する方法です。
ページ管理 → ページ基本設定を変更
※ページ管理ウインドウ(作品ページ一覧の画面)で右クリックでもOK


ページの追加・削除・複製方法(EXのみ)
EXで複数ページ設定している場合、ページの増減ができます。
ページ管理 → ページの追加(or 削除 or 複製)
※ページ管理ウインドウ(作品ページ一覧の画面)で右クリックでもOK


保存したファイルをもう一度開こう!(EXのみ)
通常クリスタは、ファイル名の後ろに「.clip」とついたものを開き、編集します。
マンガの場合も1ページごとは.clip拡張子のファイルなのですが、複数ページで作成したファイルは、全てのファイルを一括管理するための「.cmc」ファイルが生成されます。


1ページだけ編集したい!など、特定のページのみ編集したい場合は.clipファイルを開いてOK
マンガ全体を見ながら管理・編集したい場合は、.cmcファイルを開いて編集します。
複数ページファイルで絶対にやってはいけないこと(EXのみ)
複数ページでファイルを作成した場合「.clip」のファイルの取り扱いに注意が必要です。
複数ページのファイルでやってはいけないこと
- .clipファイルの削除
- .clipファイルのファイル名変更
- .clipファイルの別フォルダへの移動
※.clipファイルを開いてファイルの中身を編集するのは問題ありません


.cmcのファイルは、何ページにどのファイルがくるなど、作品ファイル全体の情報を管理しています。
上記のことをやってしまうと、.cmcが管理している.clipファイル情報と実際の.clipファイルに差異が生まれ、.cmcファイルが開かなくなってしまいます。


今回の設定は汎用性の高い「商業誌用」ではあるものの…
今回の設定はとても汎用性に長けた設定を紹介しました。
ただ出版社への持ち込みや賞への応募には、それぞれ指定するサイズや規格があります。
今回の設定でほんとどはOKだとは思いますが、場合によっては設定を変更する必要も出てきます。



まとめ
原稿の設定とプリセットの設定はうまくいったでしょうか?
原稿は一度設定が終わったらプリセットに登録してあとは使いたい放題。
基本的に頻繁に操作する場所ではありません。



「あれ…ここどうするんだっけ…」
「うわーあのやり方が思い出せない!」
となったときにいつでも見返せるよう、こちらのページをブックマークに追加しておくことをオススメします♪
最後にせっかくなので、僕が実際に仕事で使っているプリセットをお見せしますね。


大枠はほぼ同じだと思いますが、人によってそれぞれ微妙な好みの差があります。
例えば僕は基本線数を50にしていますし、見開きページにチェックを入れていません。
クリスタでたくさんマンガを描いて、自分好みのオリジナルプリセットを見つけましょう!