マンガに没頭してもらうためには、目線誘導は欠かせません。本記事では、漫画家の僕がマンガを描くときに実際に使っている目線誘導のコツを5つ紹介します。
漫画家はつねに読者の目線の動きも考えながらマンガを描いています。
目線とは、マンガを読む読者が、どのような目の動かし方をしているかです。
「マンガに目線誘導って必要なの?」
読者は自分の目線の動きなんて意識していないと思います。
しかし目線は、マンガにとってめちゃくちゃ大事な要素です。
- キャラクターの立ち位置
- キャラクターの目線
- 背景のパース
- セリフ(フキダシ)の位置
- 白黒の明暗
この5つのコツを深堀りする前に、まずは目線誘導の必要性について少し触れておきましょう!

現役の漫画家です!
「史上最強の魔法剣士、Fランク冒険者に転生する(原作:柑橘ゆすら)」のコミカライズを担当していて累計発行部数155万部突破しました!現在も連載中です。
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マンガに目線誘導って何で必要なの?

目線誘導がなぜ必要なのか、答えはシンプルです。
目線誘導がしっかりしていることで「読者をマンガの世界観に巻き込む」ことができます。

マンガを読んでいて
「ん?次のコマどれだ?」
「このフキダシは誰のセリフだろ⋯」
と一瞬迷ったことはないでしょうか?
この一瞬の「ノイズ」が、読者をマンガの世界から現実に戻してしまいます。
つまり目線誘導は「読者を没頭させる技法」と言うこともできます。
マンガの目線誘導のコツ① キャラクターの立ち位置
まず大事なことが、キャラクターの立ち位置や位置関係をしっかり見せることです。


上の画像では、1コマ目で左に女の子、右に男の子を配置しました。
そして続きのコマでも左に女の子、右に男の子がいます。


コマをまたいでもキャラクターの位置関係をキープすることで、読者はストレスなくマンガを読み進めることができます。
マンガの目線誘導のコツ② キャラクターの目線
キャラクターの目線の先は、読者も目線を向ける先になります。
そのためキャラクターの目線の先は超重要です。


とくに目線の先に見せたいものもなく悩むようであれば、とりあえずその先をフキダシにしておくとハズれることはありません。
マンガの目線誘導のコツ③ 背景のパース
背景には場所や状況、キャラクターの立ち位置を明確にする役割がありますが、さらに目線の流れを作ることもできます。


マンガの目線誘導のコツ④ セリフ(フキダシ)の位置
セリフには大きく「右上」「右下」「左上」「左下」の4か所があります。


フキダシの位置関係で、目線の動きを作ることができます。


フキダシとフキダシの間に表情など重要なものを描くことで、読者がスムーズに読みやすくなります。
マンガの目線誘導のコツ⑤ 白黒の明暗
明暗のメリハリやグラデーションを使うことで、目線の流れを作ることができます。
下の画像の場合、手前の明るい部分から奥の暗い部分への目線を意識しています。


またここまで紹介してきたコツは複数併用することもできます。
このコマも明暗だけではなく、コツ②の目線やコツ③のパースも使っています。


コマのサイズや位置、イラストやシチュエーションなどを考慮して、5つのコツからどれを使っていくかをピックアップして使っていきます。
目線誘導のコツを使った実例の紹介
こちらは僕がコミカライズを担当しているマンガ「史上最最強の魔法剣士、Fランク冒険者に転生する」のとあるページです。
何気ないシーンの見開きページですが、ここにも実はたくさんの目線誘導テクニックが詰め込まれています。


マンガをスムーズに読んでもらい、物語に没頭してもらうためには目線誘導が欠かせないことをわかっていただけるかと思います!
目線誘導でプロを超えろ!
以上、マンガの目線誘導のコツ5選でした!
じつは普通に連載されている作品の中でも、コマ割りがおかしいものや、目線誘導がうまくできないないことが多々あります。
なのでそこを妥協せずにしっかりやることは、目線誘導に関してはプロを越えていると言っても過言ではありません!



それでは、楽しいお絵描きライフを!