日本の文字はとても難しく「漢字」「ひらがな」「カタカナ」の3つを使い分けなければいけません。その中でも漢字表記ができるのに、なぜかひらがなで書かれているものがあります。本記事では、ひらがなで書くべき漢字と、その理由について紹介します。
「お早う御座います」
このあいさつ、少し違和感ありませんか?
漢字で表記できるのに、なぜかひらがな表記が良しとされるワードが日本にはあります。
今回は漢字とひらがな表記を使い分ける理由と、使い分ける方法を紹介していきます。
使い分け方法はけっこう複雑なんですが、記事の後半ではシンプルな使い分け方法や、迷ったときの判別方法も紹介しています!
いつでも見返せるようブックマークに入れておきましょう!


現役の漫画家です!
「史上最強の魔法剣士、Fランク冒険者に転生する(原作:柑橘ゆすら)」のコミカライズを担当していて累計発行部数155万部突破しました!現在も連載中です。
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漢字をひらがな表記にする理由
漢字をひらがな表記にする理由は、シンプルに「読みやすいから」です。
一般的に文章は「漢字3:ひらがな7」の割合が読みやすいとされています。
※「漢字2:ひらがな7:カタカナ1」と言われたりもします
× 詰り漢字が多い文章は、読むのが大変という事です。
◯ つまり漢字が多いと、読むのがダルいってことです。
読みやすければOKなので、ハッキリと正解・不正解があるわけではありません。
あくまで「読者がすらすら読める」を目指した結果ということです。
ひらがなで書くべきもの


こちらが、漢字ではなくひらがなで書くべきものの一覧です。
- 常用漢字にない漢字(表外漢字)
 - 当て字
 - 形式名詞
 - 一部の動詞
 - 補助動詞
 - 副詞
 - 連体詞
 - 接続詞
 - あいさつ(感動詞)
 - 副助詞(助詞)
 
細かい説明がダルいせっかちさんは記事の後半「覚えるのダルすぎ問題」から読んでもらってOK!
常用漢字にない漢字(表外漢字)
常用漢字とは、社会生活で使われる漢字のことです。
常用漢字外の漢字(表外漢字)はひらがなで表記します。
飴、烏、穢、焉、鎧、顎、鰹、吃、柩、嘘、瞼、縞、轟、舐、杖、滲、祟、苔、厨、釘、禿、痺、鞄、窪、罠、椀 など
常用漢字の一覧や検索は、文化庁のウェブサイト「常用漢字表の音訓索引」にあります。
表外漢字だけど漢字で使うことも…
ややこしいのですが表外漢字でも、漢字で表記することがあります。


「蓮」は常用漢字でないので「ハス」という表記をよく見かけます。
※ 動植物はカタカナ表記が多い


しかし「紅蓮」はどうでしょうか?
このように表外漢字でも、広く浸透している漢字や漢字の組み合わせの場合、ひらがなではなく漢字を使うこともあります。
これだけ説明しておいて、最終的には「臨機応変に」ということになります…。
固有名詞も漢字
どれだけ難しい漢字でも、人名や地名、商品名などの固有名詞はひらがなに書き換えません。
- 竈門禰豆子
 - 釘崎野薔薇
 - 択捉島
 - 獺祭
 
当て字
当て字とは、本来漢字が持つ意味とは無関係に読み方だけで当てられた字や、読み方を無視して漢字の意味だけで当てられた字のことです。
- 亜米利加(アメリカ)
 - 美味しい(おいしい)
 - 心太(ところてん)
 - 相応しい(ふさわしい)
 - 檸檬(レモン)
 
基本的に当て字はひらがなで書くのですが、外来語はカタカナで書きます。
形式名詞
形式名詞とは、それ単体では明確な意味を持たず、誰かと合体して意味をなす名詞のことです。
- とき
 - こと
 - もの
 - ほう
 - ところ
 - あいだ
 - ため
 - わけ
 - はず
 
形式名詞の使用例
- マンガを描くことが好き
 - 走るときは音楽を聞く
 - 今から釣りに行くところです
 
「描く事」「走る時」「行く所」とは書かないということです。
一部の動詞
基本的に動詞は漢字表記ですが、一部の動詞はひらがなを使います。
- ある
 - いる
 - できる
 - ごまかす
 - なる
 - わかる(判る・解る)
 
補助動詞
補助動詞とは、動詞の後ろについてくる動詞です。
- いく
 - いる
 - おく
 - くる
 - みる
 - やる
 - いたします
 - いただく
 - ください
 
補助動詞の使用例
- よろしくお願いいたします
 - 背景を描いてみる
 - アイツは必ず助けにくるはずだ
 - 僕にやらせてください
 
副詞
おもに名詞以外を修飾する副詞も、基本的にはひらがなを使います。
- いったん
 - いまだに
 - おそらく
 - かならず
 - けっして
 - さまざまな
 - さらに
 - ずいぶん
 - すでに
 - すべて
 - だいたい
 - まったく
 
漢字で見慣れているものもあると思いますが、これは媒体や個人によって使い方が分かれるためです。
連体詞
連体詞は、形容詞の活用できないバージョンのようなものです。
「の・る・な・た・だ」で終わるものが多いです。
- この
 - その
 - あらゆる
 - いかなる
 - いろんな
 - おかしな
 - たいした
 - とんだ
 - わが
 
「大きな・小さな」も連体詞ですが、例外的に漢字表記が一般的です。
接続詞
文や単語をつなぐ接続詞も、ひらがなを使います。
- あるいは
 - さらに
 - しかし
 - したがって
 - すなわち
 - ただし
 - なお
 - または
 - もしくは
 - ゆえに
 - よって
 
こちらも副詞と同じく、一部は媒体や個人によって使い方が分かれます。
あいさつ(感動詞)
もはや漢字で書く人が少数派だと思いますが、あいさつもひらがな表記です。


ちなみにあいさつは感動詞という品詞に分類されるのですが、あいさつ以外の感動詞はもともと漢字ではありません。
例)もしもし、さあ、おや、ねえ、うん、はい、よいしょ など
副助詞(助詞)
副助詞は、副詞のようなはたらきをする助詞です。
- くらい
 - ころ
 - など
 - ほど
 - まで
 
「副助詞以外の助詞は漢字でいいの?」
と思うかもしれませんが、副助詞以外の助詞はもともと漢字がありません。
例)が、の、を、に、と、から など
ひらがなで書くべき漢字覚えるのダルすぎる!
以上、ひらがなで書くべきものでした!
これ、けっこう覚えるの大変ですよね…。


「これ漢字で書くべきもの覚えるほうがマシじゃね?」
ということで「漢字で書くべきもの」としてまとめてみました。
漢字で書くのは「名詞」「形容詞」「動詞」の3つだけ
漢字で書くのはたったこの3つだけ。


- 名詞
 - 形容詞・形容動詞
 - 動詞(補助動詞除く)
 
※ 常用漢字に限る
すこし乱暴なまとめ方ですが、こちらのほうがコスパの良い覚え方になると思います。
ひらがなで書くべきか迷ったらひらがなでOK


とりあえず迷ったらひらがなでOKです
迷っているということは「ひらがな表記にも見慣れている」ということです。
ひらがな表記に見慣れている = ひらがなで使われている
となるわけですね!
兎?うさぎ?ウサギ?カタカナについて
さて問題です、正しい表記はどれでしょうか?
- Q1 馬鹿 / ばか / バカ
 - Q2 漫画 / まんが / マンガ
 - Q3 兎 / うさぎ / ウサギ
 
結論から言うと、どれも間違いではありません。
※しいて正解を言うなら「ばか」「漫画」「ウサギ」になります
カタカナを含めた表記の使い分けについては、ここでは書ききれなかったので別の記事で紹介しています。


最終的には考えるよりフィーリング
今回僕が紹介した使い分けはあくまでベースのようなもので、絶対に守らなければいけないルールではありません。


漢字とひらがな表記の使い分けは、媒体やターゲット、そして制作者の思いによって変わってくるからです。
- どちらのほうが読みやすいか
 - どちらのほうが読みたいと思わせられるか
 - どちらのほうが読者(ターゲット)に刺さるか
 
ベースを踏まえたうえで、最終的判断のポイントは上のようになります。
表外漢字でも魅せるためにあえて漢字を使ってみたり、自分流にアレンジしてみましょう!



