漫画家と関係のある組織に「公益社団法人日本漫画家協会」という団体があります。
その会員数は3000人を超える、国内唯一の公的な漫画家団体です。
日本漫画家協会は、漫画家が入るか入らないか選択すべき団体です。
結論から言うと、
法人化していない漫画家は入会しておくべき
です。
日本漫画家協会に入会していると「文芸美術国民健康保険」に加入することができ、一般的な国民健康保険より保険料が安くなるからです。
※場合によっては安くならないこともあります
本記事では、日本漫画家協会の概要や、加入のメリットやデメリットについて紹介します。
日本漫画家協会について
日本漫画家協会は、公益社団法人として設立されたのは2014年ですが、任意団体としては1964年に設立されており、その歴史は50年以上。
会員数は3000人を超える、国内唯一の公的な漫画家団体です。
協会概要
団体名 | 公益社団法人日本漫画家協会 |
設立 | 2014年4月1日 ※前身の任意団体は1964年12月15日 |
所在地 | 東京都新宿区片町3番1号YANASE兎ビル |
TEL | 03-5368-3783 |
FAX | 03-3341-0662 |
理事長 | 里中 満智子 |
ウェブサイト | https://nihonmangakakyokai.or.jp/ |
協会目的
日本漫画家協会の協会概要ページには、日本漫画家協会の目的を以下のように書いています。
健全なる漫画の普及に関する事業を行うと共に、漫画創作活動を奨励し併せて諸外国との漫画文化の交流を図り、漫画に関する調査研究を行い、もって我が国文化の発展に寄与することをもって目的とする。
なんか小難しいですが簡単に言うと
「マンガをもっと発展させて日本文化に貢献しようぜ!」
ってことですね。
それでは実際にどのようなことをしているのでしょうか?
日本漫画家協会の活動
先ほどの協会目的と同じ協会概要ページに事業内容についても記載があります。
事業内容
- 健全なる漫画の普及
- 漫画創作活動の奨励
- 漫画文化の国際交流
- 漫画に関する調査研究
- 会報その他出版物の発行
- 漫画の普及、擁護のための著作権等管理事業
- その他目的を達成するために必要な事業
このような記載はあるものの、具体的は何をしているのでしょうか?
約3年間会員だった僕の実体験
それでは会員のとき実際に何をしていたのかということですが…
正直、何してるのかよく分からなかったです。
定期的にイベントや交流会があってそれに参加したということもなく、特に何らかのお手伝いに招集をかけられたということもなく…。
定期的に協会から封筒は届きましたが、自分でもびっくりするくらい内容が記憶に残っていません。
唯一記憶に残っているものが、著名な漫画家の訃報です。
ただこれはもしかしたら、僕が都心に程遠い田舎に住んでいるせいで、関わりが薄くなっていたのかもしれません。
少なくとも僕の場合は活動なんて皆無でしたが、もちろん意味があって入会しました!
ということで会員になることの具体的メリットとデメリットについてお話しましょう!
と、その前に…
入会には条件がある
メリット・デメリットを話す前に、残念ながら誰でも入会できるというわけではありません。
入会には漫画家としての実績が必要
入会には一定の条件を満たす必要があり、日本漫画家協会のよくある質問ページに記載があります。
- 入会資格を教えてください。
-
当協会は元々創作者の職能団体として設立されたため、原則としてプロとして漫画に関わる活動をされている方を対象としています。
(1)商業作家として漫画に関わる創作業(漫画家、原作者、研究者等)に従事し生計を立てており、著作者として申告・納税していること。
(2)継続的な活動実績が確認できること。
(例:「単行本を出版している」「多数の電子書籍の発表経歴がある」など)
具体的な数値が明記されているわけではありませんが、ある程度は漫画家としての実績があり、それで収入を得ていないと、日本漫画家協会には入会できないということです。
ただ次のQ&Aを見る限り、完全にマンガで生計を立てている必要もないようです。
- 会社勤務と作家を兼業してますが入会できますか。
-
可能です。
ただし文芸美術国民健康保険につきましては、株式会社・有限会社等法人事業所の事業主、従業員の方はご加入ができませんのでご注意ください。
実績はあってもNGの場合もある
先ほどと同様よくある質問ページに、次のような記載もあります。
- 入会をお断りさせていただく方
-
・作家としての収入が同人活動のみの方。
・デビューして間もない方。
・漫画アシスタント業のみの方。
漫画アシスタント業の方につきましては、関連団体である「マンガジャパン」では入会を受け付けておりますので、あわせてご検討ください。
自分はいけるかな…と迷ったらとりあえず入会申込をしてみてもいいのではないでしょうか。
入会のメリット
日本漫画家協会入会のメリットは、日本漫画家協会の公式Twitterアカウントがツイートしています。
入会することで4つのメリットがあるようですね。
それではそれぞれ見ていきましょう
文芸美術国民健康保険に入れる
まじでこれが最大のメリットです。
簡単に言うと国民健康保険料が圧倒的にお得になります。
保険料は人により異なりますが、基本的に国民健康保険は収入に比例して保険料も上がっていきます。そしてどこにも所属していない個人事業主は、特に保険料が高くなりがち。
それに対し文芸美術国民健康保険は、収入に関わらず保険料が一定です。
※独り身の場合月額約2万円程度
そしてこのスーパー国民健康保険ですが、誰でも入れるわけではないのです。
この保険は、文芸美術国民健康保険組合に加盟している団体に自分が所属していないと、入ることができません。そして日本漫画家協会は、文芸美術国民健康保険組合に加盟しているということなんです。
国民健康保険料は収入に大きく依存するので、場合によっては文芸美術国民健康保険に入ると逆に損をすることもあります。
社会的信用度がアップする
日本漫画家協会に入会するということは、公的な組織の一員になるということで、社会的信用がアップします。
ただ残念ですが、僕は特に会員で恩恵を感じたことも、非会員で困ったこともありません。
会員証もあるのですが使ったことないです。
契約書等、仕事上のトラブルなどに
契約書や著作権に関しての疑問を相談できる部署があります。
ネットで調べたら何でも答えが出る時代ではありますが、実際にマンガに携わっている人に相談ができるのは心強いですよね。
税務相談
年に一度、無料の税金相談会を開催しています。
税金は簡単なことではないですし、ミスしてはいけない部分なのでありがたいですよね。
入会のデメリット
デメリットというデメリットはありません。
無理してでもデメリットを挙げるとするならば、入会金と年会費が必要だということくらいです。
日本漫画家協会の会費
- 入会金 ¥10,000
- 年会費 ¥20,000
ただこれをデメリットと言うには少し乱暴かもしれません。
「会費 + 文芸美術国民健康保険料」のほうが一般的な国民健康保険料より安くなる場合が多いからです。
法人化していないなら確実に入会しておくべき
デメリットというデメリットもなくメリットしかない日本漫画家協会。
入会できるなら、法人化していない場合は確実に入会しておくべきです。
もちろん法人化していても入会する恩恵はあります。
僕が日本漫画家協会を退会した理由
僕は法人化に伴い、日本漫画家協会を退会しました。
というのも法人化したことによって、文芸美術国民健康保険から社会保険にシフトしたからです。
もちろん法人化してかららいろんな相談はできますし、会員であることが漫画家としてのステータスにもなり得るので、決して法人化後退会をオススメするわけではありません。
まとめ
「公益社団法人日本漫画家協会」は、会員数3000人を超える、国内唯一の公的な漫画家団体です。
入会するためにはある程度漫画家としての実績が必要ですが、入会することでさまざまな恩恵を受けることができます。
日本漫画家協会に加入する4つのメリット
- 文芸美術国民健康保険に入れる
- 社会的信用度がアップする
- 契約書等、仕事上のトラブルなどに
- 税務相談
中でも特に文芸美術国民健康保険に入れることがデカく、シンプルに保険料がお得になります。
日本漫画家協会の会費を加味しても、ほぼお得になります。
※場合によってはお得にならないこともあります
日本漫画家協会の会費
- 入会金 ¥10,000
- 年会費 ¥20,000
法人化した漫画家にとっても頼りになる存在ですが、特に法人化していない漫画家にとってはかなりありがたい恩恵を受けられるので、ぜひ入会をご検討ください。
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