「お早う御座います」
このあいさつ、少し違和感ありませんか?
漢字で表記できるのに、なぜかひらがな表記が良しとされるワードが日本にはあります。
今回は漢字とひらがな表記を使い分ける理由と、使い分ける方法を紹介していきます。
使い分け方法はけっこう複雑なんですが、記事の後半ではシンプルな使い分け方法や、迷ったときの判別方法も紹介しています!
いつでも見返せるようブックマークに入れておきましょう!
漢字をひらがな表記にする理由
単純に「読みやすいから」です。
一般的に文章は「漢字3:ひらがな7」の割合が読みやすいとされています。
※「漢字2:ひらがな7:カタカナ1」だったりもします
詰り漢字が多い文章は読むのが大変という事です。
つまり漢字が多いと読むのがダルいってことです。
読みやすければOKなので、ハッキリと正解・不正解があるわけではありません。
あくまで「読者がすらすら読める」を目指した結果ということです。
ひらがなで書くべきもの
こちらが、漢字ではなくひらがなで書くべきものの一覧です。
- 常用漢字にない漢字(表外漢字)
- 当て字
- 形式名詞
- 一部の動詞
- 補助動詞
- 副詞
- 連体詞
- 接続詞
- あいさつ(感動詞)
- 副助詞(助詞)
細かい説明がダルいせっかちさんは記事の後半「覚えるのダルすぎ問題」から読んでもらってもOKです!
常用漢字にない漢字(表外漢字)
常用漢字とは、社会生活で使われる漢字のことです。
常用漢字外の漢字(表外漢字)はひらがなで表記します。
飴、烏、穢、焉、鎧、顎、鰹、吃、柩、嘘、瞼、縞、轟、舐、杖、滲、祟、苔、厨、釘、禿、痺、鞄、窪、罠、椀 など
常用漢字の一覧や検索は、文化庁のウェブサイト「常用漢字表の音訓索引」にあります。
表外漢字だけど漢字で使うことも…
ややこしいのですが表外漢字でも、漢字で表記することがあります。
「蓮」は常用漢字でないので「ハス」という表記をよく見かけます。
※ 動植物はカタカナ表記が多い
しかし「紅蓮」はどうでしょうか?
このように表外漢字でも、広く浸透している漢字や漢字の組み合わせの場合、ひらがなではなく漢字を使うこともあります。
これだけ説明しておいて、最終的には「臨機応変に」ということになります…。
固有名詞も漢字
どれだけ難しい漢字でも、人名や地名、商品名などの固有名詞はひらがなに書き換えません。
- 竈門禰豆子
- 釘崎野薔薇
- 択捉島
- 獺祭
当て字
当て字とは、本来漢字が持つ意味とは無関係に読み方だけで当てられた字や、読み方を無視して漢字の意味だけで当てられた字のことです。
- 亜米利加(アメリカ)
- 美味しい(おいしい)
- 心太(ところてん)
- 相応しい(ふさわしい)
- 檸檬(レモン)
基本的に当て字はひらがなで書くのですが、外来語はカタカナで書きます。
形式名詞
形式名詞とは、それ単体では明確な意味を持たず、誰かと合体して意味をなす名詞のことです。
- とき
- こと
- もの
- ほう
- ところ
- あいだ
- ため
- わけ
- はず
形式名詞の使用例
- マンガを描くことが好き
- 走るときは音楽を聞く
- 今から釣りに行くところです
「描く事」「走る時」「行く所」とは書かないということです。
一部の動詞
基本的に動詞は漢字表記ですが、一部の動詞はひらがなを使います。
- ある
- いる
- できる
- ごまかす
- なる
- わかる(判る・解る)
補助動詞
補助動詞とは、動詞の後ろについてくる動詞です。
- いく
- いる
- おく
- くる
- みる
- やる
- いたします
- いただく
- ください
補助動詞の使用例
- よろしくお願いいたします
- 背景を描いてみる
- アイツは必ず助けにくるはずだ
- 僕にやらせてください
副詞
おもに名詞以外を修飾する副詞も、基本的にはひらがなを使います。
- いったん
- いまだに
- おそらく
- かならず
- けっして
- さまざまな
- さらに
- ずいぶん
- すでに
- すべて
- だいたい
- まったく
漢字で見慣れているものもあると思いますが、これは媒体や個人によって使い方が分かれるためです。
連体詞
連体詞は、形容詞の活用できないバージョンのようなものです。
「の・る・な・た・だ」で終わるものが多いです。
- この
- その
- あらゆる
- いかなる
- いろんな
- おかしな
- たいした
- とんだ
- わが
「大きな・小さな」も連体詞ですが、例外的に漢字表記が一般的です。
接続詞
文や単語をつなぐ接続詞も、ひらがなを使います。
- あるいは
- さらに
- しかし
- したがって
- すなわち
- ただし
- なお
- または
- もしくは
- ゆえに
- よって
こちらも副詞と同じく、一部は媒体や個人によって使い方が分かれます。
あいさつ(感動詞)
もはや漢字で書く人が少数派だと思いますが、あいさつもひらがな表記です。
ちなみにあいさつは感動詞という品詞に分類されるのですが、あいさつ以外の感動詞はもともと漢字ではありません。
例)もしもし、さあ、おや、ねえ、うん、はい、よいしょ など
副助詞(助詞)
副助詞は、副詞のようなはたらきをする助詞です。
- くらい
- ころ
- など
- ほど
- まで
「副助詞以外の助詞は漢字でいいの?」
と思うかもしれませんが、副助詞以外の助詞はもともと漢字がありません。
例)が、の、を、に、と、から など
覚えるのダルすぎ問題
以上、ひらがなで書くべきものでした!
これ、けっこう覚えるの大変ですよね…。
「これ漢字で書くべきもの覚えるほうがマシじゃね?」
ということで「漢字で書くべきもの」としてまとめてみました。
漢字で書くのは「名詞」「形容詞」「動詞」の3つだけ
漢字で書くのはたったこの3つだけ。
- 名詞
- 形容詞・形容動詞
- 動詞(補助動詞除く)
※ 常用漢字に限る
すこし乱暴なまとめ方ですが、こちらのほうがコスパの良い覚え方になると思います。
迷ったらひらがなでOK
とりあえず迷ったらひらがなでOKです
迷っているということは「ひらがな表記にも見慣れている」ということです。
ひらがな表記に見慣れている = ひらがなで使われている
となるわけですね!
最終的には考えるよりフィーリング
今回僕が紹介した使い分けはあくまでベースのようなもので、絶対に守らなければいけないルールではありません。
漢字とひらがな表記の使い分けは、媒体やターゲット、そして制作者の思いによって変わってくるからです。
- どちらのほうが読みやすいか
- どちらのほうが読みたいと思わせられるか
- どちらのほうが読者(ターゲット)に刺さるか
ベースを踏まえたうえで、最終的判断のポイントは上のようになります。
表外漢字でも魅せるためにあえて漢字を使ってみたり、自分流にアレンジしてみましょう!
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