マンガで背景を描くべきコマと、描かなくてもいいコマの使い分け方法を紹介します。
「みんなマンガの背景ってどうしてるの?」
「ここって背景描くべき?」
マンガはコマによって、背景を描くときと描かないときがあります。

「背景を描きすぎてページ全体が重くなる…」
「背景描かなさすぎて中身がスカスカだ!」
今回は、背景を描くべきコマと、描かなくてもいいコマの見分け方を紹介します!



現役の漫画家です!
「史上最強の魔法剣士、Fランク冒険者に転生する(原作:柑橘ゆすら)」のコミカライズを担当していて累計発行部数155万部突破しました!現在も連載中です。
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背景が必要なマンガのコマについて
背景は必要に応じて描いたり、描かなかったりします。
まずは背景を描くべきコマを紹介します。
- 場面を伝えるために描く背景
- 立ち位置や状況を伝えるために描く背景
- ページ全体のバランスとして描く背景
それでは、この3つについて詳しく話していきます。
① 場面を伝えるために描く背景
場面を伝えるために描く背景では「物語に関わってくる場所」を描きます。


上の画像のように、これからストーリーが進んでいく舞台を伝えるために描く背景です。



そこは「どんな場所」で「どんな雰囲気」なのかをしっかり伝え、読者がわくわくできるストーリー展開を期待させます。
② 立ち位置や状況を伝えるために描く背景
今登場人物が「どこにいるのか」また複数人いる場合は「どのような位置関係なのか」を教えるための背景です。


上の画像では、2人が空中で戦っているシーンなのですが、これだと分かりづらいですよね。



せっかくマンガに没頭しているのに、
「ん?ここどうなっているんだ?」
と一瞬でも迷わせてしまうと、集中が途切れてしまい台無しです。
そのため、2人が空中にいることをしっかりと背景で伝える必要があります。


③ ページ全体のバランスとして描く背景
1ページ全体をパッと見たときの、バランスや雰囲気を調整するために描く背景です。
これは漫画家の好みや、作品のテイスト、物語の流れによってかなり分かれるところです。


例えば、日中は普通明るいですが、シリアスなシーンなので暗めにしたり、逆に夜でもコミカルなシーンなので明るめにしたりなどが挙げられます。
背景が必要ないマンガのコマについて
ここまでは背景が必要なコマについてまとめてきました。
- 場面を伝えるために描く背景
- 立ち位置や状況を伝えるために描く背景
- ページ全体のバランスとして描く背景
背景が必要ないコマは、上記に当てはまらない場合です。
これら3つのどれもが必要ないとき、背景を描く必要はありません。
例えば下の画像は「剣を受け取る」シーンで「鍛冶コンテスト」というイベント会場にいます。
すでに前のコマで①の「場面を伝えるために描く背景」と②の「立ち位置や状況を伝えるために描く背景」は描き終えているので、背景を描いていません。


このシーンは特に「聖魔の剣」に目線を持っていきたいコマとなっています。
そのためこのコマでは背景を描いてしまうと、目線が散ってかえって逆効果になってしまいます。



マンガの背景どうしてる?実際に1ページ描いてみた
ものすごくザックリですが、実例を1ページ描いてみました。
「下校中の女の子が何かを見つけた」というものです。
1ページ4コマの構成になっています。


1コマ目 場面を伝えるために描く背景
1コマ目では「山間に沈む夕日」「飛んでいるカラス」「学校」を描いています。
このコマからは、おそらく「現代」で「夕方」であることがわかります。
1コマ目だけではまだわかりませんが、この1コマ目のおかげで、次のコマの解像度が上がります。
2コマ目 立ち位置や状況を伝えるために描く背景
制服の女の子がいて、背景には道路が描いてあります。
前のページで場面を伝えているので、ただの道路が「下校中の通学路」に様変わりします。
ここで道路を描いていないと、この女のが校内なのか、自宅なのか、どこにいるのかがわからないので背景は必要になります。
3コマ目 背景不要
女の子が何かに気づきました。
場面も位置ももうわかっているので、ここでは背景は必要ありません。
むしろなにかに気づく「女の子の表情」にピントを当てたいので、背景はむしろノイズになります。
4コマ目 ページ全体のバランスとして描く背景
ここはページ全体のバランスを見て背景を描いています。
ここからシリアスにしたいなら背景をよりリアルに描いてもいいかもしれません。
ポップにしたいなら背景を描かないという選択肢や、トーンだけを貼るという選択肢もあります。
自分の表現したいものを優先して背景を考えよう!
以上、背景を描くときと描かないときを見分ける方法でした。
ただこれはあくまで「僕個人のやり方」ということをご留意ください!
100%盲信するべきではありません。
「セオリー的には背景描くべきだけどどうしても描きたくない!」
もちろん描かなくて大丈夫です!
「背景余計になると思うけど絶対に描きたい!」
これももちろん描いて大丈夫です!
あなたの作品はあなたのものです。
伝えたいこ・表現したいことをガンガン描いてバンバン発表していきましょう!
それでは、楽しいお絵描きライフを!