「印刷したらなんかちょっと思ってた色と違う!」
この原因として、プレビューの表現色がCMYKではなく、RGBになっている場合がほとんどです。
PhotoshopなどではデータをCMYKモードに変更することができるのですが、クリスタではそれができず、RGBデータとしてでしか作業をすることができません。
ではどうするかというと、クリスタでは以下の手順で色のズレをなくすことができます。
クリスタで描いたイラストの色味を変えずに印刷する方法
- プレビューをRGBからCMYKに変更する
- イラスト描写前ならイラストを描き始め、描写後なら色を調整する
- 印刷する
※ お使いのディスプレイやプリンター、インク、紙、部屋のライトなども色に影響を与えるので、正しく設定をしても少なからず色の誤差は発生します。
また印刷ではなく画像データとして書き出しをしたい場合、書き出し設定からCMYKカラーとして書き出すことも可能です。
※ JPG、TIFF、PSB、PSDの4形式のみ
今回はCLIP STUDIO PAINTことクリスタでイラストデータと印刷したイラストの色ズレを防ぐべく、プレビューをCMYKに変更する方法と、CMYKカラーで書き出す方法を紹介します。
クリスタ(クリップスタジオペイント)とは、プロも愛用する人気No.1のイラスト・マンガ制作ソフトです。
→ イラストソフトはクリスタが一択な5つの理由
→【CPIP STUDIO PAINT 公式サイト】
RGBとCMYKについておさらい
ちゃんと説明しだすとかなり長くなってしまうので、ここではものすごく簡潔にRGBとCMYKについて説明します。
RGBもCMYKも、色を表現する方法のことをいいます。
- RGB
ディスプレイなど、光で色を作る - CMYK
本や写真などインクで色を作る
今あなたが眺めているスマホやパソコンも、インクではなく光を使って色を表現しているのでRGB。
そして家の本棚においてある書籍は全て印刷物で、光ではなくインクを使って色を表現しているのでCMYKです。
つまりクリスタで描いているイラストは光(RGB)で色が作られているのに対して、印刷したイラストはインク(CMYK)で色が作られているのです。
RGBとCMYKには互換性はあるのですが、カバーできる色の範囲がRGBの方が広く、CMYKでは表現できない色があります。
それではこの問題を解決すべく、クリスタへ移りましょう!
RGBやCMYKについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事で紹介しています。
プレビューをRGBからCMYKに変更する方法
改めて、Photoshopでは新規作成時にカラーモードをCMYKに変更することができるのですが、クリスタではRGBモードでしか作業をすることができません。
そのため、クリスタではプレビューをCMYKモードにすることで、擬似的にCMYKカラーで操作している状態を作ります。
そのためイラストを描き始める前からCMYKに変更しておくのが理想です。
「しまった!うっかりRGBのまま描いちゃった!」
という方は、プレビューをCMYKに変換後、色調補正を使って調整しましょう。
プレビューをRGBからCMYKに変更する方法
- [表示]メニューの[カラープロファイル]から[プレビューの設定]をクリック
- [カラープロファイルプレビュー]画面で設定
- [OK]をクリック
工程はこれだけですが、設定が初見では少し難しいので詳しく見ていきましょう!
① [表示]メニューの[カラープロファイル]から[プレビューの設定]をクリック
[表示]メニューの[カラープロファイル]から[プレビューの設定]をクリックします。
すると[カラープロファイルプレビュー]という、プレビューの設定画面が開きます。
② [カラープロファイルプレビュー]画面で設定
さて、いろいろ設定項目があるので1つずつサクサクと見ていきましょう!
プレビューするプロファイル
ここがメイン!
どの規格で色を表現するかを選択します。
じつは一口にCMYKといっても、ややこしいことにCMYKの中にもさらにいろんな規格があります。
とりあえずは「CMYK:Japan Color 2001 Coated」を選んでおけばOK!
レンダリングインテント
CMYKで表現できない色を、どのように変換するか選択します。
とりあえず「知覚的」にしておくのが無難です。
使用ライブラリ(Windowsのみ)
MacにはないWindows版クリスタのみでの設定項目ですが、基本的に触らなくてOK。
Photoshopなど他のCMYKに対応したアプリも使って編集したい場合、ライブラリを統一しておかないと色味が変わってしまう可能性があります。
色調補正
これからイラストを描き始める場合は設定不要です。
すでにイラストを描き終えていて、プレビューの色味が気に入らないときにチェックを入れて色味を補正することができます。
チェックを入れるとトーンカーブとレベル補正の2つを操作することができます。
しかしここでの色調補正、書き出し時に反映させることはできますが、印刷時に反映させることはできません。
もしここでの補正を印刷にも反映させたい場合、1度PSDなどで書き出してから、その書き出したファイルを印刷することで対応することはできます。
そのためここで色調補正はせず、[編集]メニューの[色調補正]から調整したほうが扱いやすいかもしれません。
※この方法で色調補正をすると、プレビューではなく元データの色味が変更されます。
設定の適用範囲
プレビューの設定を有効にする範囲(期間)を設定します。
- キャンバスに保存する
キャンバスにプレビューの設定情報を保存させます。
クリスタを閉じても、次回から同じ設定のプレビューで開きます。 - このウィンドウのみに設定する
プレビューの設定は保存されないので、次回開くとデフォルトであるRGBのプレビューに戻ります。
特別な理由がない限りは「キャンバスに保存する」でOK
③ [OK]をクリック
全ての設定を終えたら右上の[OK]をクリックすることで、プレビューがRGBからCMYKに変更され、イラストが印刷後を想定した色合いに変わります。
あとはイラスト描いて印刷をするか、描き終えている場合は色調補正で調整してから印刷をします。
プレビューを変更しただけでイラストデータは何も変わっていない
先ほども軽く触れましたが、あくまでプレビューをCMYKにしただけで、元のイラストデータは何も変わっていません。
わかりにくいかもしれませんが、実は右上の[ナビゲーター]パレットを見るとそこはRGBのままになっています。
そのため、CMYKのつもりでいつも通り書き出しをしても、書き出し後のイラストデータはRGBのままになっています。
次は、CMYKの状態で書き出しをする方法を紹介していきます。
CMYKカラーで書き出しをする方法
ファイル形式は限られていますが、CMYKカラーの状態で書き出しをすることができます。
CMYKカラーでの書き出しに対応している拡張子
- JPG
- TIFF
- PSB
- PSD
どの拡張子でも設定は同じなので、今回はJPGの書き出し設定画面を例に見ていきましょう。
表現色を「CMYKカラー」に変更
デフォルトでは「RGBカラー」になっている[表現色]の項目を「CMYKカラー」に変更します。
ICCプロファイルの埋め込み
[ICC]プロファイルの埋め込みは、チェックを入れることでプレビュー設定時に行った色調補正を反映して書き出しをすることができます。
色調補正をしていない場合はチェックの有無は関係ありません。
以上、設定完了後[OK]をクリックすると、CMYKカラーの画像データとして書き出しをすることができます。
デフォルトでCMYKカラーに設定しておきたい!
そもそも印刷を想定してイラストを描くことが多い場合、あらかじめCMYKカラーのプレビューに変更しておきたいですよね。
残念ながら、デフォルトでプレビューをCMYKカラーに設定をしておくことはできず、新規キャンバス作成時に設定するところもありません。
しかもオートアクションに登録することもできません。
一応対策としては、CMYKのプレビューに設定した白紙のキャンバスをテンプレートとして保存しておき、それを毎回複製して使うというパワープレイで回避できなくもないです。
注意!CMYKカラーに変更しても印刷時に誤差はでる
以上、クリスタで描くイラストを印刷に対応させる方法でした。
最後に大切な注意点があります。
プレビューをCMYKにしたとはいえ、完璧に同じ色味で印刷されるわけではありません。
作品と印刷物の色味の誤差が発生する要因
- ディスプレイのスペックや設定
- 作業場のライトの色
- プリンターのスペックや設定
- インクのメーカー
- 用紙の質や色
このように様々な要因がからんでくるので「ちゃんと設定したはずなのに…」と設定に時間を費やしすぎないよう注意しましょう。
それでは、楽しいお絵描きライフを!